風水デザインという考え方 今を整える、暮らしの作法
ポルシェ911をデザインしたアレキサンダー・F・ポルシェは、かつてこう語っています。
「デザインとは、機能とフォルムを美的に統合することだ」と。
なるほど、と頷く一方で、私はふと思います。
では、そこに“エネルギー”や“気の流れ”といった、目に見えない要素が加わったとしたら?
それが、私の考える「風水デザイン」です。

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風水デザインとは?
簡単に言えば、エネルギー(気)とカタチ(フォルム)とを、美しさの中で調和させること。
でもそれは単なるインテリアの話ではありません。
私が風水デザインに惹かれるのは、それが「未来」よりも「今」に重きを置いているからです。
未来というのは、“今”の積み重ね。
だったら、今この瞬間をどう過ごすかが、人生の質を決める。
空間が与えてくれる「気持ちのよさ」や「高揚感」は、意外なほど大きな影響を持っています。
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拙宅に取り入れている風水デザインの5つの工夫
1|パーソナルカラーを取り入れる
生年月日から導き出される色や素材の傾向。
占術では「命占」と呼ばれますが、私はそれを「運命」ではなく「ヒント」として見ています。
たとえば、私はミッドセンチュリーモダンのデザインが好きで、そこに北欧の要素と自分に合ったラッキーカラーを加えています。
色や素材で「自分らしさ」を表現することは、日常のテンションを微細にチューニングする手法でもあるのです。

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2|磁場を整える
動物も植物も人間も、地球の磁場の影響を受けて生きています。
実は、電磁波や土地のバランスが崩れることで、不眠や不調を引き起こすこともあると言われています。
我が家では、空間のエネルギーを調整するために、いくつかの独自の対策をしています。
ちょっとした「場のしつらえ」で、空間が呼吸し始める感覚があるんです。
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3|薪ストーブのある暮らし
炎には、見ているだけで癒される力があります。
これは気のせいではなく、実際に「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促すとも言われています。
薪ストーブは電気を使わず、空気を乾燥させません。
夏には煙突から空気を自然に排出してくれる「ドラフト効果」もあり、静かに空間を整えてくれる存在になっています。
当方の事務所では炎の揺らぎがオーロラの様に美しい、また掃除しやすい北欧製のものを採用しています。
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4|バリアフリーで、空間に“余裕”をつくる
我が家は、日本の尺モジュールをベースにしながら、廊下や階段、トイレをメーターモジュールで設計しています。
ほんの9cmの違いですが、この「ちょっと広い」が、暮らしに余白をもたらしてくれるんです。
二つのバルコニーやテラスにも段差を跨がずフラットに出られる仕様。
玄関へ続くアプローチもスロープで、極力段差をなくした将来を見据えた動線設計です。

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5|家相と風水、両方をほどよく取り入れる
昔ながらの家相の考え方も大切にしつつ、そこに生年月日や家族構成などの“個別性”を加味して空間を整えています。
風水は、決して堅苦しいルールではなく、
「こうあると、気持ちがいいよね」という感覚の延長線上にあるもの。
だからこそ、形式に縛られすぎず、日々の気づきや好みを反映しながら、空間をチューニングしていくことが大切だと感じています。
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最後に
風水というと「運気を上げるテクニック」と思われがちですが、
私にとっては、“今”を心地よく生きるための空間の哲学です。
空間が変わると、呼吸が変わります。
呼吸が変わると、思考や感情も自然に整ってくる。
風水デザインとはつまり、
「今を整えることで、未来に責任を持つ」ための方法なのかもしれません。
